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社会保障の「給付」と「負担」について解説!

2025/08/01情報発信

7月20日に行われた参議院選挙では、社会保障や少子高齢化への対応が大きな争点となり、多くの候補者が年金制度や医療費負担の見直しについて発言していました。

こうした動きからもわかるように、社会保障のあり方は日本の未来にとって極めて重要なテーマとなっています。

しかし、社会保障という言葉はよく耳にしても、「実際にどんな仕組みで成り立っているのか?」「私たちにどう関係しているのか?」をしっかり理解している人は少ないかもしれません。

そこで今回は、社会保障の中でも特に「給付(もらえるお金)」と「負担(支払うお金)」のバランスに注目して解説していきます!

 

 

1.社会保障にはどのような「給付」がある?

社会保障給付とは、病気や高齢、失業、子育てなど、さまざまな場面で生活を支えるために、国や自治体から提供される支援のことです。

2025年度の予測では、社会保障給付費の総額は約140.7兆円と見込まれており、これは日本のGDP(国内総生産)の約22.4%に相当する大きな金額です。

 

1-1.社会保障給付の内訳

その内訳は、主に以下の3つの分野に分けられます。

①年金:約62.5兆円(全体の44.4%)

年金は、高齢になって働けなくなったときや障害を負ったとき、または家族を亡くした遺族が一定の生活を送ることができるように支給されるお金です。具体的には次のような種類があります。

老齢年金:65歳以上になったときに支給される年金。多くの人が受け取る、最も代表的な年金です。

障害年金:病気や事故で障害を負った人に支給されます。

遺族年金:家族の働き手を亡くした遺族(配偶者や子どもなど)に支給されます。

日本では「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の2つの制度があり、職業によって加入制度が異なります。


②医療:約43.4兆円(全体の30.8%)

医療分野の給付とは、病院にかかった際の診療費や入院費用などを補助してくれる制度です。日本では「国民皆保険制度」によって、すべての人がいずれかの公的医療保険に加入しており、次のようなサービスが提供されています:

診療・治療費の一部負担:病院で診療を受ける際に、自己負担は原則として3割(子どもや高齢者は負担割合が異なる)で済み、残りは公的医療保険から支払われます。

高額療養費制度:高額な医療費がかかった場合でも、自己負担額には上限が設けられており、それを超える分は支給されます。

出産育児一時金や傷病手当金なども医療保険の一部として支給されるケースがあります。


③福祉その他:約34.9兆円(全体の24.8%)

この分野は多岐にわたりますが、特に以下のような支援が含まれています:

介護保険サービス:高齢者や障害のある方が介護を必要とする場合、訪問介護やデイサービス、特別養護老人ホームなどの費用の一部が公的に給付されます。

子育て支援:児童手当、保育所の運営費補助、出産・育児にかかる経済的支援などが含まれます。

生活保護:病気や失業などにより生活に困窮した世帯に対し、最低限度の生活を保障する給付です。

失業手当(雇用保険):仕事を失った場合に、一定期間生活費を補助するための給付です。

この「福祉その他」は、社会的に弱い立場にある人々を支える役割を果たしています。

1-2.社会保障給付の推移

1950年にはわずか0.7兆円だった給付費が、2022年には131.1兆円まで増加しています。特に「年金」と「医療」費の伸びが顕著です。

また、「一人あたりの社会保障給付費」も増加しており、1970年には約3.5万円だったものが、2022年には約105.4万円となっています。これは、国民一人あたりが受け取る支援の規模が大きくなっていることを示しています。

 

2.「負担」の仕組み

社会保障の給付に必要なお金は、「保険料」と「公費(税金)」によってまかなわれています。

■ 保険料:82.2兆円(全体の59.8%)

社会人になると、給与の一部が「社会保険料」として差し引かれます。このうち、約43.5兆円(31.6%)は「被保険者(働く人)」が負担し、約38.8兆円(28.2%)は「事業主(会社など)」が負担しています。

■ 公費:55.3兆円(全体の40.2%)

国や地方自治体が税金などから支出する費用です。

国(国庫):約38.2兆円(27.7%)

地方自治体:約17.2兆円(12.5%)

また、年金の積立金の運用収入なども一部活用されています。

3.「給付」と「負担」のバランスは?

2025年度の見込みでは、

社会保障給付費:約140.7兆円

財源(保険料+公費):約137.5兆円+運用収入など

となっており、収支のバランスはギリギリの状態です。

そして注目すべきは、国民所得に占める社会保障給付費の割合です。

1970年から2022年の間に大幅に増加していることが分かります。これは、社会全体で支える負担が年々重くなっていることを意味しています。つまり、制度の持続には少しの変動でも大きな影響を与えかねない状態だということです。

 

3-1.なぜバランスが崩れつつあるのか?

給付が増えている理由は、「高齢化の進行」による年金や医療・介護の給付が拡大や「医療の高度化・長寿化」による費用の高額化、平均寿命が延びたことによる医療・介護の長期化、「少子化による現役世代の減少」、「経済成長の鈍化」などがあります。

現在のように「給付」が増え続け、「負担」を担う人が減っていく状況がこのまま続いた場合、社会保障制度は今の形では維持できなくなる恐れがあります。

 

3-2.制度維持のために必要なこと

今後、給付と負担のバランスを維持するためには、「何をどこまで支えるべきか」「どのように費用を分担するか」を社会全体で考える必要があります。

具体的には、

  • 働く人を増やす(女性・高齢者・外国人労働者の就労支援)
  • 税や保険料の仕組みを見直す(所得に応じた公平な負担)
  • 経済の活性化によって国民所得全体を増やす
  • AIやICTを使って医療・介護の効率化を図る
  • 子育て支援を強化し、出生率を上げる政策の実行

など、制度改革や働き方改革、少子化対策に取り組むことが重要になってくるのです。

 

4.まとめ

社会保障は、私たちの暮らしを支える重要な制度です。

しかし、少子高齢化の急速な進行により、年金・医療・介護といった社会保障給付は年々膨張を続けています。一方で、それを支える現役世代は減少傾向にあり、財源確保の持続可能性に深刻な課題が生じています。

「給付」と「負担」のバランスを適切に保つことは、単に制度の安定運営のためだけでなく、世代間の公平性を確保し、将来にわたって国民の信頼を得続けるために不可欠です。このバランスが崩れれば、現役世代への過重な負担、または高齢者への給付削減といういずれも厳しい選択が求められることになってしまいます。

社会保障制度の持続可能性を確保するには、単なる財源論にとどまらず、労働市場の活性化、子育て支援、医療・介護の効率化といった多面的な改革が必要です。そして、私たち一人ひとりが、制度の受益者であると同時に支え手でもあるという視点を持ち、主体的に制度のあり方を考える姿勢が求められます。

この機会に、社会保障の構造や現状に改めて目を向けることで、より良い制度の在り方について社会全体で議論を深めていきませんか?

 

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2025年8月1日
Writer yamane